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2021-11-04

【サバを酢で〆る理由とは】まぐろやの大将が詳しく解説!

しめ鯖
しめ鯖

毎度お世話になります!

山の中の回転寿司 まぐろやの西です

調理師になって40年、回転寿司を経営して16年です

サバを酢で〆ると美味しいですよね 

なぜ?「サバ」を酢で〆るのか?

その理由と、上手な締め方を詳しく説明していきます

これを読めば、美味しい「サバの酢〆」が作れますので

是非!最後までお付き合いくださいね

サバを〆る理由はなぜでしょう?

酢で〆ると美味しくなるから?

それもありますが、一番は保存するためです

サバを酢で締める理由

サバを酢で〆る一番の理由は、『鮮度保持』です

サバにはヒスチジンという”アミノ酸”が多く含まれています

これが、「サバ」の独特な旨味の元になっているのですが

魚の主な成分は「タンパク質」です

しかし、サバは厄介なことに「タンパク質分解酵素」が非常に多く

タンパク質分解酵素の働きも強く、身が柔らかくなるのが早い

要するに「腐れやすい」ということです

俗にいう『サバの生き腐れ』とはこのことからきています

これが、細菌と一緒になることで「ヒスタミン」と言う

アレルギー物質に変化します

そのために「酢」で締めて腐敗過程を遅くします

酢で〆る前に先ず!「塩」

(サバを塩で〆る)

魚を酢で〆るのは、生臭みを消し、保存性を高めるため

ですが、酢につける前には必ず「塩〆」します

では?魚肉を酢につける前に、必ず塩〆にするのはなぜでしょうか?

その前に「の効能」について説明します

  • 微生物の発育を抑え、腐敗を防ぐ
  • タンパク質の凝固をやめ、凝固物を固くする
  • 水分の多い食品から水分を引き出す
  • 小麦粉のグルテン粘性と弾性を高める
  • クロロフィルの緑色を安定に保つ
  • ポリフェノール系物質の褐変を防ぐ
  • グロブリン系のタンパク質の溶解性を高める
  • 氷に加え零下20℃以下にする

このような働きが「塩」にはあります

その中でも、酢〆に効果が高いのは「水分の多い食品から水分を引き出す力」

食品の水分を引き出す力は、「浸透圧」によるもので水分を引き出すことで

表面の組織を柔らかく変化させて酢が食品に馴染むようになります

シメサバのように3%~4%の塩になれば水分が絞り出されて、身がしまってくる

水分を絞り出すことにより、酢の味がバラバラにならず全体に行き渡ります

そして、この酢と塩の兼ね合いが難しく、昔から「味付けのコツ」が

塩と酢の塩梅(あんばい)と言われる所以です

 【塩梅】 あんばいは「塩」と「梅酢」のことです

シメサバの塩と酢の塩梅(あんばい)

シメサバのポイントは、「塩をしておく時間」と「酢につける時間」です

よく言われるのが「塩を振って2~3時間、酢に1時間~1時間半」ですがこれは、塩〆は夏場と冬場や魚の大きさでも変わってきます

夏場より冬場の方が塩をしておく時間が長くなります、冬場はサバ自体の脂がのっておりサバの身に味がよく馴染むように塩〆の時間を長くします

魚の大きさもこれと同じで、1㎏を超えると身に厚みがあるため塩〆の時間もその分長くなります

目安として、塩〆する時間を2時間とすれば、時期と魚の大きさで時間を短縮するとよいです

塩〆はこれでよいのですが、重要なのは「酢につける時間」です

1時間~2時間は長すぎます

これも、サバの鮮度・塩の加減・酢の種類と温度で酢に漬ける時間は変化します

1時間半も漬けるとしたら、大きさが「カツオ」サイズで、脂がトロなみにのっている魚になります、このようなサバは見たことありません

酢に漬けすぎると、内部まで白くなり薄皮が酢に溶けてボロボロになります

精酢(生酢)につけて30分を目安にして「目」で確認する

この方法がおすすめです
皮目ではなく、身のほうを見て全面が白くなっていればOKです!

 《補足》酢漬けの魚の表面が白くなるのは?
魚の主な成分は「タンパク質」タンパク質は熱を加えると凝固する性質があり、これを「変性」といいます
魚に「酸」を加えると、その中の水素イオンがプラスの電気を帯びており、これがタンパク質の分子が持っているマイナスの電気を中和してなくしてしまうため、タンパク質分子の障害物が取除れた形になり、白い細かな
粒子がより集まった状態になるため「酢漬けの魚の表面は白くなる」   (参照)「コツの科学」杉田浩一著

酢につける時間はとて複雑です30分は目安にはなりますが、これが正解というのは残念ながら経験を積まないと
わかりません、これは「酢の周り具合や・魚の個体の関連性」が大きく関わってくるので

あとは、時間になったら身の色を確認して取り出せば大丈夫です

身の色が白く変色していなければ早すぎる

サバの薄皮が溶けて剥がれるようであれば漬けすぎ

これを覚えておいてください

酢〆してもアニキサスは死なない

シメサバを作る上で一番用心しなければいけないのが「アニキサス」

「アニキサス」とは、寄生虫の一種で、長さが2㎝ ~3㎝、幅0.5mm~1mmの白い糸のようなもの

本来は、クジラやイルカに寄生していて彼らの胃の中には大量にアニキサスを飼っていることもありますが

特に痛がることもなく平然と泳ぎます(本来寄生虫は寄生するべき相手に対してはひどい症状を与えることがない)

アニキサスは幼虫のときは、サバ・鮭・鯵・イワシ・イカ・たらなどの魚介類に寄生します

アニキサスは魚介類の内蔵に生息して、魚の死後、鮮度劣化に伴い筋肉(魚の身)へ移動していきます

人間の体内に入った場合は1周間程度で体内で死滅しますが、その間に体に異変を起こします

これが「アニキサス症」と言われるものです

アニキサスを死滅させる2つの方法

① 60度で1分間加熱、70度で瞬時に死滅

アニキサスは、焼き・煮るなどの方法で魚の身の温度が60度以上で1分加熱する、もしくは70度の加熱で瞬時に死滅してしまいます

アニキサスは熱に弱いため、魚介類を加熱調理で確実に死滅させられます

②マイナス20度で24時間以上冷凍

アニキサスを死滅させるには冷凍保存も効果があります

マイナス20度で24時間以上冷凍で確実に死滅させられます

シメサバを作る時に、酢で〆たあとに真空パックやラップでくるんで24時間以上冷凍保存

万が一サバの身にアニキサスが寄生していたとしても食べる前の冷凍保存によって安全に食べれます

(注)「よく噛んで食べるとアニキサス予防に有効」はあてになりません
理由は、アニキサスは硬い寄生虫です、細かく刻むかナメロウのように身を叩くしかしない限り死滅しません

自宅でシメサバを作る場合はマイナス20度で24時間冷凍が一番適しています

③アニキサスを防ぐために新鮮なサバを選ぶ

新鮮なサバの選び方の基準

  • 新鮮なサバほど腹が硬く弾力がある
  • 皮や身に張りがある
  • 体の大きさに対して顔が小さい

④アニキサスを防ぐために:サバの下処理と保存

  • 内蔵はきれいに洗い流す
  • アニキサスを目視でしっかり確認する
  • 常温保存は危険

以上のことに注意して「シメサバ」を作ってみてください!

 

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